源泉徴収税額 =(報酬の額 − 5,000円 × 計算期間の日数)× 10.21%。明細にある「支給額(源泉前の総額)」と「計算期間」の2つをこの式に入れれば、店が引いた額が正しいかを自分で確かめられます。この記事では月締め・日払い・給与併用の3パターンで検算し、合わないときに多い原因と、店が給与として扱っている場合の違いを書きます。
この記事は令和8年分(2026年1〜12月、申告は2027年2〜3月)を前提にしています。条文と数字は2026-09-12にe-Gov法令検索と国税庁のページで確認しました。
ホステス等の報酬から引く源泉徴収は、店の裁量ではなく法律で式が決まっています。
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 対象 | キャバレー・ナイトクラブ・バーなどで客に侍して接待をするホステス等の報酬・料金。客から店を通じて渡されるものも含む | 所得税法204条1項6号・3項 |
| 控除額 | 同一人に1回に支払われる金額から、5,000円×その支払金額の計算期間の日数を引く。同じ店から給与が払われていれば、その期間の給与額をさらに引く | 所得税法205条2号・施行令322条 |
| 税率 | 残額×10%(所得税)。復興特別所得税を合わせて10.21% | 所得税法205条・No.2807 |
| 日数の意味 | 営業日数や出勤日数ではなく、計算の基礎となった期間の初日から末日までの全日数 | No.2807 |
| 端数 | 1円未満は切り捨て | No.2807 |
| 報酬に含まれるもの | 報奨金・衣装代・深夜帰宅するためのタクシー代。「車賃」などの名義でも報酬の性質があれば対象 | No.2807・所得税基本通達204-2 |
検算に要るのは2つだけです。項目名は店によって違います。
この2つを式に入れて出た額を、明細の「源泉」「所得税」「源泉所得税」の欄と比べます。
国税庁の例は31日の月で報酬75万円のケースで、(750,000 − 155,000)× 10.21% = 60,749円です(No.2807)。月によって日数が28〜31日と変わるので、控除額も140,000〜155,000円と変わります。
検算して数百円から数千円ずれるときは、次のどれかであることが多いです。
| 症状 | 原因 | 差額の例(31日・75万円) |
|---|---|---|
| 源泉が計算より多い | 控除の日数を出勤日数で計算している | 25日で計算すると63,812円。正しい60,749円より月3,063円、年36,756円多い |
| 源泉が計算より少し少ない | 復興特別所得税を入れず10%で計算している | 59,500円。1,249円少ない。申告のときに差額を納める側になる |
| 日払いなのに源泉が少ない | 日払いをまとめて月の日数で控除している | 日払い20回なら正しい控除は10万円。月の31日分15.5万円で計算すると源泉が約5,615円少ない |
| 源泉とは別に何かが引かれている | 厚生費・ヘアメイク代・送り代・罰金などの天引き | これは源泉徴収ではない。経費になるかは送りの記事と経費の記事 |
店に確認するときは「計算期間の日数は暦の日数で計算されていますか」と聞くのが早いです。出勤日数で計算していると、多く引かれた分は確定申告で戻りますが、申告しなければ戻りません。
報酬として払うか給与として払うかは、店との契約の実態で決まります。国税庁は、ホステス等への支払いでも「給与等または退職手当等に該当するものについては、それぞれ給与所得または退職所得として源泉徴収を行います」としています(No.2807)。給与の場合は式がまったく違います。
| 報酬(所得税法204条) | 給与(所得税法183条) | |
|---|---|---|
| 源泉の式 | (報酬 − 5,000円×日数)× 10.21% | 源泉徴収税額表(月額表・日額表の甲欄・乙欄)で決まる |
| 年明けに店から出る書類 | 支払調書(本人への交付義務はない) | 源泉徴収票(本人に交付される) |
| 経費 | 実額または家内労働者等の特例69万円(No.1810) | 引けない。代わりに給与所得控除(令和8年分は最低74万円・No.1410) |
| 年末調整 | ない。確定申告で精算 | 店が年末調整をすれば、他に所得がなければ申告不要のこともある |
どちらで扱われているかは、明細の源泉の欄が上の式で合うかどうかで見分けられます。給与と報酬の両方が混ざっている店もあり、その場合はパターン3の計算になります。給与部分が69万円以上あると家内労働者等の特例は使えません(No.1810)。
源泉徴収は経費も控除も見ていない概算の前払いです。確定申告で本当の税額を計算し、引かれすぎなら還付、足りなければ納付になります。申告しなければ引かれすぎた分は戻りません。年収別の試算は還付金の記事にあります。
求めた税額に1円未満の端数があるときは切り捨てます(国税庁No.2807)。たとえば25,000円×10.21%=2,552.5円なら2,552円です。明細が2,553円なら切り上げているので、店に確認する材料になります。
源泉徴収の義務は支払う側(店)にあります(所得税法204条)。徴収されていなければ前払いがないだけなので、確定申告で計算した所得税をそのまま納めます。引かれていないのに「還付」はありません。申告しないままだと無申告加算税と延滞税がつきます(申告していないとどうなるかの記事)。
ヨルタスは夜職向けの確定申告アプリです。店からもらった額と計算期間を月ごとに入れると、(報酬 − 5,000円×日数)× 10.21% で引かれているはずの源泉徴収額を計算し、年間の合計と戻る見込みを出します。Proでは月ごとの源泉徴収明細をまとめて出せるので、支払調書がなくても自分の記録で申告できます。記録は端末の中だけに保存されます。
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いずれも2026-09-12に確認。