今日やることは、廃業届を出す前でも後でも、税務署の徴収担当と市区町村の納税課に電話して「事業を廃止したので納税の猶予を申請したい」と伝えることです。廃業しても納税義務は消えず、時効の5年は督促状で更新されるので実務上は成立しません。代わりに「事業の廃止」は法律が猶予の理由として認めている事実です。消える道ではなく、止めて分ける道を使います。
延滞税の割合は令和8年(2026年)のものです。令和8年分の所得税は令和9年2月16日〜3月15日に申告・納付します。
納税義務は、所得税なら暦年の終了時、消費税なら課税資産の譲渡等をした時に成立し、申告や決定で税額が確定します。廃業は、その後の事業をやめる事実にすぎず、確定した税額を消す事由ではありません。国税庁の手続案内にある「個人事業の開業・廃業等届出書」は所得税法第229条に基づく届出で、書式のどこにも滞納との関係はありません。廃業届を出した後も、未納の所得税・消費税には督促状が納期限から50日以内に届き(国税通則法第37条)、発送日から10日を過ぎれば税務署は財産を差し押さえなければならないと書かれています(国税徴収法第47条)。住民税・国保も同じで、督促状の後の10日で差押えの要件が整います(地方税法第331条)。順序と止め方は税金の滞納で差し押さえはいつ来るかに書きました。
新たに発生する税もあります。廃業した年の所得に対する所得税と消費税は翌年に申告・納付します。住民税と国民健康保険は前年の所得で翌年度の額が決まるので、廃業して収入がなくなった年の翌年度に、事業をしていた年の所得に基づく納付書が届きます。廃業の翌年がいちばん苦しくなる構造です。住民税の減免と分納は住民税が払えない時の分割納付、国保の軽減と減免は国民健康保険が払えない時の減免・軽減・分納の手順に書きました。
国税の徴収権は法定納期限から5年間行使しないと時効で消滅し、援用は不要で、利益の放棄もできません(国税通則法第72条)。ここだけ読むと5年逃げれば消えるように見えます。しかし第73条は、督促については督促状を発した日から起算して10日を経過した日までの期間は時効が完成せず、その期間を経過した時から新たに進行を始めると定めています。差押えや交付要求も同じで、民法の規定も準用されるため(第72条第3項・民法第148条)、滞納処分が続く限り時効は更新され続けます。納税の猶予や換価の猶予を受けている期間は、そもそも進行しません(第73条第4項)。地方税も、時効5年(地方税法第18条)と、納付の告知・督促・交付要求による完成猶予と更新(第18条の2)が同じ構造です。
| 出来事 | 時効への影響 | 根拠 |
|---|---|---|
| 法定納期限を過ぎる | 5年の時効が進み始める | 国税通則法第72条第1項・地方税法第18条第1項 |
| 督促状が発送される | 発送日から10日経過まで完成せず、経過後に新たに5年が始まる | 国税通則法第73条第1項第4号・地方税法第18条の2第1項第2号 |
| 差押え・交付要求 | 手続きの間は完成せず、終了後に新たに進行 | 国税通則法第73条第1項・第72条第3項(民法第148条の準用) |
| 納税の猶予・換価の猶予 | 猶予期間中は進行しない | 国税通則法第73条第4項・地方税法第18条の2第4項 |
| 一部を納付する | 延滞税の時効は納付時から新たに進行 | 国税通則法第73条第6項 |
督促状は納期限から50日以内に必ず出されます。つまり時効が成立するのは、税務署や自治体が5年以上まったく何もしなかった場合だけです。転居して通知が届かなくても公示送達で届いたことになるので、逃げ切りは制度上ほぼありません。時効を待つ5年の間、延滞税は年9.1%で積み上がり続けます。
納税の猶予(国税通則法第46条第2項)は、災害や盗難、本人や家族の病気やけが、そして「納税者がその事業を廃止し、又は休止したこと」(第3号)、事業の著しい損失(第4号)を要件にしています。廃業は法律が猶予の理由として認めた事実です。申請が通れば1年以内、やむを得ない理由があれば合計2年までの分割納付になり、猶予中の延滞税は軽減されます。猶予額が100万円以下、期間が3か月以内、担保にできる財産がない、のいずれかなら担保は要りません(第46条第5項、国税庁タックスアンサーNo.9206)。
一時に納めると生活の維持が困難になるおそれがあり納税に誠実な意思があれば、納期限から6か月以内の申請による換価の猶予(国税徴収法第151条の2)も使えます。6か月を過ぎていても職権による換価の猶予(第151条)があり、すでに差し押さえられていても換価を止められます。地方税は徴収猶予(地方税法第15条)に「事業の廃止・休止」が要件として入っており、申請による換価の猶予(第15条の6)も同じ構造です。
電話の言い方は「〇月に事業を廃止して収入がなくなり、一時には払えません。納税の猶予を申請したいので、申請書と必要な書類を教えてください」。持ち物は本人確認書類、納付書か督促状、廃業がわかるもの(廃業届の控え・取引終了の通知)、直近の収入と支出がわかるもの。猶予の申請には財産収支状況書が要り、100万円を超えると財産目録と収支の明細も必要です。
| 手続き | 期限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 個人事業の開業・廃業等届出書(所得税) | 廃業の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで(かつては1か月以内) | 所得税法第229条・国税庁手続案内 |
| 事業廃止届出書(消費税。課税事業者だった人) | 速やかに | 消費税法第57条第1項第3号 |
| 個人事業税の申告(都道府県) | 事業の廃止の日から1か月以内に、その年の1月1日から廃止の日までの所得を申告 | 地方税法第72条の55第1項 |
| 予定納税の減額申請 | 第1期・第2期分は7月1日〜15日、第2期分のみは11月1日〜15日 | 国税庁手続案内「予定納税額の減額申請手続」 |
| 廃業年分の所得税の確定申告 | 翌年2月16日〜3月15日(令和8年分は令和9年) | 国税庁タックスアンサーNo.2020 |
| 廃業年分の消費税の確定申告 | 翌年3月31日(個人事業者) | 国税庁タックスアンサーNo.6601 |
| 青色申告の取りやめ届出書(青色だった人) | やめようとする年分の確定申告期限(翌年3月15日)まで | 所得税法第151条 |
廃業の後に払った経費は無駄になりません。所得税法第63条は、事業を廃止した後に生じた費用や損失で、廃止しなかったなら必要経費になるはずだったものを、廃止した年分(またはその前年分)の必要経費に算入すると定めています。廃業後に届いた仕入れ代金の請求、店舗の原状回復費、廃棄費用などが対象で、廃業年の申告に入れるか、申告後なら更正の請求で戻します。
予定納税は前年の所得税額から計算されるので、廃業して所得が落ちる年は7月15日または11月15日までに減額申請を出します。出さないと前年並みの額の納付書が来て、払えなければそれも滞納になります。
消えません。廃業届(個人事業の開業・廃業等届出書)は所得税法第229条に基づく事実の届出で、納税義務を消す手続きではありません。すでに確定している所得税・消費税・住民税・国民健康保険の未納は廃業後もそのまま残り、督促状の発送日から10日を過ぎれば差し押さえの要件が整います(国税徴収法第47条・地方税法第331条)。廃業年の所得に対する所得税と、前年の所得に対する翌年度の住民税・国保も新たに発生します。
実務上ほぼ消えません。国税の徴収権は法定納期限から5年で時効消滅し、援用は不要です(国税通則法第72条)。しかし督促状を発した日から10日を経過するまで時効は完成せず、経過した時から新たに5年が進み始めます(第73条第1項第4号)。差押えや交付要求でも更新され、納税の猶予や換価の猶予の期間中は進行しません(第73条第4項)。地方税も同じ仕組みです(地方税法第18条・第18条の2)。税務署や自治体は督促状を必ず出すので、5年放置で消える場面は実際にはまず起きません。
使えます。納税の猶予は「納税者がその事業を廃止し、又は休止したこと」が要件のひとつに明記されており(国税通則法第46条第2項第3号)、廃業はむしろ申請の理由になります。1年以内(やむを得ない理由があれば合計2年まで)の分割納付で、猶予中の延滞税は軽減され、猶予額が100万円以下なら担保は不要です。一時に納めると生活の維持が困難なら、納期限から6か月以内の申請による換価の猶予(国税徴収法第151条の2)もあります。地方税は徴収猶予(地方税法第15条)に「事業の廃止・休止」があります。
廃業の翌年度は、猶予の分納、前年所得で決まった住民税と国保、廃業年分の所得税と消費税が同じ年に重なります。「今週消す額」は、入金を入れるたびに、猶予の分納・住民税と国保の次の期・年金の期日を12週先まで並べ、期日までの残り週数で割って「今週専用口座に送る額」を出す無料のWebアプリです。滞納→決まって出る金→借金→緊急資金→目標の順に積むので、猶予の約束がいちばん先頭に来て、週払いの仕事に移った後も約束の日に口座に揃います。アカウント不要で、三鷹市・東京23区の納期プリセットが入っています。
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いずれも2026-09-12に確認。
制度の運用や窓口は税務署・自治体ごとに異なります。この記事は法令と国税庁の公開情報をもとにした一般的な説明で、個別の税務相談ではありません。