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個人事業主でも生活保護は受けられる【廃業は条件ではない・資産と収入の扱い】

売上が落ちて生活費に届かない個人事業主向け | 更新: 2026-09-12 | 根拠は生活保護法第4条・第7条・第17条・第24条・第60条、厚生労働省「生活保護制度に関するQ&A」・生活保護制度の概要・保護課の研修資料

今日やることは、お住まいの地域を所管する福祉事務所に電話して「生活保護の申請をしたい」と伝えることです。個人事業主であることも、廃業していないことも、申請を断る理由にはなりません。働いて収入があっても、収入と資産が最低生活費に満たなければ差額が支給されます(厚生労働省Q&A)。申請から原則14日以内に結果が出ます。

30秒で結論

生活扶助基準額は令和8年4月1日現在の厚生労働省Q&Aの例によります。最低生活費は住所地の級地・年齢・世帯構成で異なります。

「個人事業主だから受けられない」は制度上の根拠がない

生活保護法第4条は、保護の要件を「利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用すること」と定めています。職業や雇用形態は要件に入っていません。厚生労働省のQ&Aは、働いて就労収入がある人でも、収入と資産が最低生活費に満たなければ差額が保護費として支給されると説明しています。事業収入は、保護課の研修資料で「就労に伴う収入」の例として「事業により得た収入」と明記され、給与と同じ枠で扱われます。

廃業しないと受けられない、という条件もありません。むしろ生業扶助(第17条)は「生業に必要な資金、器具又は資料」を扶助の対象にしており、収入を増やすか自立を助長する見込みがあれば、事業を続けるための費用が保護の中に組み込まれています。研修資料は、事業の開始や継続のための貸付金を、福祉事務所の事前承認があれば収入として認定しない扱いも示しています。

ただし「能力の活用」は審査されます。研修資料は、稼働能力があるか、活用する意思があるか、実際に働く場を得られるか、の3点で判断し、求職活動をしても働く場がない人は要件を満たすとしています。売上がほとんどない事業を続けることが「能力の活用」と見られるかは福祉事務所の判断で、収入が最低生活費に届く見込みがなければ就労の指導を受けることがあります。廃業を求められた事例があるとしても、それは法律の条件ではなく個別の判断です。

資産と収入はこう扱われる

項目扱い根拠
預貯金原則収入認定。保護開始時に持つ金銭のうち最低生活費の5割は保有を容認厚労省研修資料(課長通知第10の10-2)
自動車原則処分。障害のある人の通勤・通院、公共交通機関の利用が著しく困難な地域での通勤・通院・通所・通学に必要なら保有を容認厚労省Q&A Q7・研修資料
土地・家屋原則売却。現に住んでいる家は処分価値が著しく大きいものを除き保有を容認厚労省研修資料
事業用の器具・機械福祉事務所が実施要領に基づき判断。この記事では要領の原文を確認できず未確認
事業収入必要経費(仕入れ代金・交通費・社会保険料など)を引き、さらに勤労控除を引いた額を収入認定厚労省研修資料「収入認定について」「勤労控除の概要」
年金・手当手続きをすれば受給できる給付は先に活用する(他の制度の優先)生活保護法第4条第2項
借入金事業の継続・就労のための貸付で事前承認があるものは収入認定しない。それ以外の借入は収入認定、返済は必要経費にならない厚労省研修資料(次官通知第8-3-(3))
親族の扶養保護に優先。夫婦と中学3年生以下の子の親は重点的に照会、履行が期待できない者には照会しない場合がある厚労省「生活保護制度の概要」

勤労控除の基礎控除は、就労収入15,000円までは全額、15,000円を超える分はその10%を足した額が目安です(実際は収入区分ごとに額が定められています)。就労に伴う必要経費を除いたうえで、さらにこの控除が引かれるので、事業で得た額がそのまま保護費から差し引かれるわけではありません。

事業収入がある単身者の概算(最低生活費を月13万円と仮定)
月の売上 120,000円 − 必要経費(仕入れ・交通費)40,000円 = 就労収入 80,000円
基礎控除 15,000円 +(80,000円−15,000円)×10% = 21,500円
収入認定額 80,000円 − 21,500円 = 58,500円
保護費 130,000円 − 58,500円 = 71,500円(事業を続けながら差額を受ける)

最低生活費の13万円は説明のための仮の数字です。厚生労働省Q&Aの令和8年4月1日現在の生活扶助基準額の例は、東京都区部等で高齢者単身世帯(68歳)77,980円、3人世帯(33歳・29歳・4歳)165,360円、母子世帯(30歳・4歳・2歳)197,220円で、これに住宅扶助(上限内の実費)や医療扶助が加わります。

申請の窓口と流れ

  1. お住まいの地域を所管する福祉事務所(市区部は市区、町村部は都道府県)に行くか電話する。町村役場でも申請できる。「相談」で終わらせず「申請します」と言う。保護は申請に基づいて開始される(第7条)。
  2. 申請書を出す。氏名・住所・理由・資産と収入の状況を書く(第24条第1項)。書けない特別の事情があれば申請書なしでも申請できる。通帳の写しや売上のわかる資料を求められる。
  3. 福祉事務所が訪問調査、資産調査(預貯金・生命保険)、扶養照会を行う。
  4. 申請日から原則14日以内、特別な理由があれば最長30日以内に、書面で決定が通知される(第24条第5項)。30日以内に通知がなければ却下とみなして不服申立てができる(第7項)。
  5. 決定までの生活費がなければ、社会福祉協議会の臨時特例つなぎ資金貸付を福祉事務所で聞く(厚労省Q&A Q3)。

持っていくものは、本人確認書類、通帳、直近の売上と経費がわかるもの(帳簿・請求書・入金明細)、家賃の契約書、健康保険や年金の通知、借入の明細。事業の収支は月ごとに出せる形にしておくと、収入認定の話が早く進みます。

申請の前に事業用の口座を空にしたり、財産を親族に移したりしないでください。急迫の場合に資力があるのに保護を受けたときは費用の返還義務があり(第63条)、不正の手段なら徴収と罰則の対象です。あるものは全部出して、扱いを福祉事務所と決めるのが最短です。

受給中の収入認定と義務

受給中は、事業収入を毎月申告します(研修資料「収入の状況を毎月申告」)。世帯の誰にどんな収入があっても、少額でも申告が必要で、その都度、収入認定額と最低生活費を比べて翌月の保護費が決まります。売上が伸びた月は保護費が減り、最低生活費を超えれば保護は停止・廃止になります。逆に落ちた月は増えます。週ごとの入金がばらつく仕事でも、月単位で申告します。

義務は、能力に応じて働くこと、健康の保持、収入と支出の把握と節約(第60条)、収入や生計の変動の届出(第61条)、福祉事務所の指導に従うこと。保護費には税や公課がかからず、差し押さえもされません(厚労省Q&A Q6)。

借金がある場合、保護費から返済することは制度の趣旨から原則認められません(Q&A Q10は住宅ローンについて明記)。事業の借入やカードローンが残っているなら、法テラスや弁護士会での債務整理を福祉事務所と並行して相談します。税金や国保の滞納は、生活保護の受給が決まれば減免の対象になる自治体が多く、三鷹市の個人市民税の減免は「生活保護を受けている」ことが対象事由のひとつです。詳しくは住民税が払えない時の分割納付国民健康保険が払えない時の減免・軽減・分納の手順に書きました。

よくある質問

個人事業主は廃業しないと生活保護を受けられませんか

廃業は条件ではありません。厚生労働省のQ&Aは、働いて収入がある人でも、収入と資産が最低生活費に満たなければ差額が保護費として支給されると説明しています。事業で得た収入は「就労に伴う収入」として、仕入れ代金などの必要経費と勤労控除を引いた額が収入認定されます。ただし、稼働能力を活用しているかは判断の対象で、事業を続けても収入が最低生活費に届く見込みがない場合、福祉事務所から転職や就労の指導を受けることがあります。

仕事で使う車や道具は処分しなければなりませんか

自動車は原則として処分し生活費に充てることになりますが、障害のある人の通勤・通院や、公共交通機関の利用が著しく困難な地域で通勤・通院・通学に必要な場合は保有が認められます(厚労省Q&A・研修資料)。事業用の器具や機械の扱いは福祉事務所が「保護の実施要領」に基づいて判断しますが、この記事では要領の原文を確認できていません。預貯金は保護開始時に最低生活費の5割までの保有が認められ、それを超える分は収入認定されます。

生活保護の申請から決定までどれくらいかかりますか

申請した日から原則14日以内、扶養義務者の調査などに日時を要する特別な理由がある場合は最長30日以内に、書面で通知されます(生活保護法第24条第5項)。30日以内に通知がなければ却下されたものとみなして不服申立てができます(同条第7項)。窓口はお住まいの地域を所管する福祉事務所で、決定までの当座の生活費がない場合は社会福祉協議会の臨時特例つなぎ資金貸付を使えることがあります。

今週消す額で、申請までの数週間と受給中の支払いを回す

申請から決定までの2〜4週間と、受給が始まってからも、家賃・光熱費・国保の分納・税の減免申請の期日は続きます。「今週消す額」は、入金を入れるたびに、滞納の分納・家賃や光熱費・税と保険の納期を12週先まで並べ、期日までの残り週数で割って「今週専用口座に送る額」を出す無料のWebアプリです。滞納→決まって出る金→借金→緊急資金→目標の順に積み、入金が少ない週は下から削ります。毎月の収入申告に使う「今月の入金の記録」もここに残ります。アカウント不要で、三鷹市・東京23区の納期プリセットが入っています。

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参考(一次資料)

いずれも2026-09-12に確認。

「生活保護法による保護の実施要領」(厚生労働省次官通知・局長通知)の原文は、この記事の確認時点で厚労省の法令等データベースを開けず未確認です。事業用資産の保有と収入認定の細かな扱いは、お住まいの福祉事務所に確認してください。この記事は法令と厚生労働省の公開資料をもとにした一般的な説明で、個別の相談ではありません。