KANAU WORKS / KONSHU KESU GAKU

税金の滞納で差し押さえはいつ来るか|法律の順序と止め方

2026年9月11日 / 一次資料の確認日 2026-09-11 / KANAU WORKS

督促状が届いて差し押さえが怖いなら、今日やることは3つです。

  1. 督促状の発送日を確認する。地方税なら発送日から起算して10日を経過した日以降、法律上はいつ差し押さえられてもおかしくない状態です。
  2. 今日中に納税課(国税なら税務署の徴収担当)に電話する。「分割で払いたい」か「猶予を申請したい」と伝える。連絡が入った滞納は、実務上ほとんど差し押さえに進みません。
  3. 今週払える額で1回目を今日払う。少額でも納付の実績が「誠実な意思」の証拠になり、猶予の要件になります。

差し押さえまでの法律上の順序

納期限 → 督促状 → 10日経過 → 財産調査 → 差押え → 換価(公売・取り立て)

督促状は、住民税や国保税などの地方税なら納期限後20日以内(地方税法第329条・第726条)、所得税や消費税などの国税なら納期限から50日以内(国税通則法第37条)に出されます。

督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないとき、地方税は「差し押えなければならない」(地方税法第331条第1項)、国税も同じ文言です(国税徴収法第47条第1項)。裁量ではなく義務として書かれています。

財産調査は、徴税吏員が滞納者本人・勤務先・取引先・金融機関に質問し帳簿や書類を検査する権限で(国税徴収法第141条。地方税も同条の例による)、答えない・偽ると罰則があります(地方税法第333条)。裁判所の令状は要りません。勤務先への照会で、給与の額と振込口座はわかります。

現実の時間差は自治体の運用で決まります。多くの自治体は督促状の後に催告書、電話、SMSを挟み、新宿区は督促状の発送後に納付案内センターから電話とSMSで案内すると公表しています。数か月後のこともあれば、住民税と国保の未納をまとめて一気に来ることもあります。「いつ」を当てるより、法律上の線は10日だと覚えて先に動くほうが確実です。

転居して通知が届かない場合も止まりません。住所がわからなければ公示送達(地方税法第20条の2)となり、掲示から7日で届いたことになります。

差し押さえられないもの、給与はいくらまでか

国税徴収法第75条は、生活に欠かせない衣服・寝具・家具・台所用具、3か月分の食料と燃料、職人や技術者の仕事道具、実印、位牌、学習に必要な書籍、義手や義足などを差し押さえ禁止にしています。地方税の滞納処分も同法の例によります(地方税法第331条第6項)。

給与は第76条で、次の合計に達するまでは差し押さえできません。

差し押さえ禁止になる額
源泉徴収される所得税
特別徴収される住民税
給与から控除される社会保険料
10万7千円+4万8千円×生計を同じくする配偶者・親族の数(施行令第34条)
給与から①〜④を引いた残りの20%

月給25万円、税と社会保険料が3万5千円、単身の場合。④は10万7千円、⑤は(25万−3万5千−10万7千)×20%で2万1,600円。合計16万3,600円が守られ、差し押さえは8万6,400円までです。配偶者と子1人がいれば④が20万3千円になり、⑤は2,400円。守られる額は24万400円で、差し押さえは1万円弱にとどまります。賞与も同じ計算です(第76条第3項)。

預金は別です。第76条が守るのは給料の債権と受け取った金銭で、口座に振り込まれた後は預金債権として扱われ、給与の計算が及ばない運用が一般的です。残高が全額差し押さえられることがあります。ただし、差し押さえを免れる目的で財産を隠す・移す・壊すのは滞納処分免脱にあたり、3年以下の拘禁刑または250万円以下の罰金です(国税徴収法第187条)。口座から抜くことではなく、連絡して猶予に乗せることが正解です。

生命保険の解約返戻金、自動車、不動産も対象です。給与の差し押さえは勤務先に通知が届くので、勤務先に知られます。

止める手続きは猶予の申請

差し押さえの線から外れる方法は、法定外の「分割納付の約束」と、法定の「猶予」の2段です。約束は延滞金が止まりませんが、払っている間は滞納処分に進めないのが通常の運用です。猶予は要件を満たせば差し押さえと換価が猶予され、延滞金が減ります。

徴収猶予(地方税法第15条/国税は国税通則法第46条の納税の猶予)

災害や盗難、本人や家族の病気やけが、事業の廃止や休止、事業の著しい損失に当たるとき。1年以内、やむを得ない理由があれば延長して合計2年まで。猶予期間中の延滞金は一部または全部が免除されます(地方税法第15条の9)。

申請による換価の猶予(地方税法第15条の6/国税徴収法第151条の2)

一時に納付すると事業の継続や生活の維持が困難になるおそれがあり、納税に誠実な意思があるとき。申請期限は納期限から6か月以内(国税は法定、地方税は条例で定め、新宿区は6か月)。申請する税以外に滞納がないことが条件で、1年以内の各月分割になります。

職権による換価の猶予(地方税法第15条の5/国税徴収法第151条)

6か月を過ぎていても、すでに差し押さえられていても、役所側の判断で換価を猶予できます。「もう遅い」はありません。分納の約束で公売や取り立てを止める根拠がここです。

担保は、猶予額が100万円以下、期間が3か月以内、担保にできる財産がない、のいずれかなら不要です(国税通則法第46条第5項。国税庁タックスアンサーNo.9206)。書類は猶予申請書と財産収支状況書で、100万円を超えると財産目録と収支の明細が要ります。

電話の言い方「督促状が届いています。一括では払えないので、今日、分割の約束をしたいです。〇月に失業して収入が減ったので、徴収猶予(または換価の猶予)の申請ができるなら、申請書と必要な書類を教えてください」

差し押さえの処分に不服があれば、処分を知った日から3か月以内に審査請求ができます(新宿区の案内)。ただし止める近道は請求ではなく、猶予の申請と納付の実績です。

よくある失敗

督促状を開けない。発送日が見えないと、10日の線がどこにあるかわかりません。

電話に出ない。連絡が取れない滞納者は、財産調査から差し押さえに直行します。

連絡せずに口座を空にする。滞納処分免脱に当たるうえ、次の入金がそのまま差し押さえられます。

分納の途中で新しい期を落とす。約束が切れ、換価の猶予の「他に滞納がない」の要件も崩れます。

1年度分だけ相談して、ほかの年度や国保を伏せる。財産調査で全部わかります。最初から全部出して、合計で払える額を決めます。

今週いくら送れば間に合うかを出す

猶予も分納も「毎月いくら」で約束しますが、週払いや日払いで働いていると、給料日と納期がずれて、約束の日に口座に残っていないことが起きます。「今週消す額」は、入金を入れるたびに、滞納の分納・住民税や国保の次の期・年金の期日を12週先まで並べ、期日までの残り週数で割って「今週専用口座に送る額」を出す無料のWebアプリです。滞納→決まって出る金→借金の順に積むので、差し押さえの線にいちばん近い支払いが常に先頭に来ます。アカウント不要で、三鷹市・東京23区の納期プリセットが入っています。

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参考(一次資料)

差し押さえの時期や猶予の運用は自治体・税務署ごとに異なります。この記事は法令と公的機関の公開情報をもとにした一般的な説明で、個別の税務・法律相談ではありません。手元の通知書と、お住まいの市区町村・所轄の税務署の案内を正としてください。