配達員のバイク減価償却【5万・15万・30万円の3価格帯で計算例・月割と按分つき】
原付・バイクで配達するUber Eats・出前館・Wolt・Amazon Flexの配達員向け | 更新: 2026-09-12 | 根拠は国税庁No.2100・No.2106・No.5404・減価償却資産の償却率等表・所得税基本通達45-2
バイクの経費の落とし方は「1台いくらか」と「白色か青色か」で決まり、10万円未満は全額、10万円以上は3年で分ける、青色なら30万円(令和8年4月1日以後の取得は40万円)未満まで全額です。この記事では5万円・15万円・30万円の3価格帯で、買った月の月割と稼働割合の按分まで入れた実額を出します。中古バイクの耐用年数も計算します。
30秒で結論
- 10万円未満:買った年に全額経費(消耗品費)。免税事業者は税込で判定(国税庁No.2100)
- 10万円以上20万円未満:一括償却資産として3年で3分の1ずつ(月割なし)か、通常の減価償却(バイクは耐用年数3年・定額法の償却率0.334・月割あり)のどちらか
- 青色申告:10万円以上30万円未満(令和8年4月1日以後の取得は40万円未満)は買った年に全額。年300万円まで、令和11年3月31日までの取得が対象
- 中古バイクは簡便法で2年(償却率0.500)。私用と兼ねるなら、どの方法でも稼働割合で按分する
この記事は令和8年分(2026年1〜12月の稼働、申告は2027年2月16日〜3月15日)を前提にしています。金額はすべて税込。計算例の稼働割合は80%(配達の走行距離÷総走行距離)としています。
価格帯で決まる3つの扱い
国税庁No.2100によると、1つの減価償却資産の扱いは取得価額で分かれます。バイク(2輪・3輪自動車)の法定耐用年数は3年で、平成19年4月1日以後に取得した資産の定額法の償却率は0.334です(国税庁の償却率等表)。
| 1台の取得価額(税込) | 白色申告 | 青色申告 |
| 10万円未満 | 買った年に全額経費 | 同左 |
| 10万円以上20万円未満 | 一括償却資産(3年で3分の1ずつ)か、通常の減価償却(3年・0.334・月割) | 左の2つに加えて、少額減価償却資産の特例で買った年に全額 |
| 20万円以上30万円未満 | 通常の減価償却(3年・0.334・月割) | 通常の減価償却か、特例で買った年に全額 |
| 30万円以上40万円未満 | 通常の減価償却 | 令和8年4月1日以後の取得なら特例で全額。令和8年3月31日までの取得は通常の減価償却 |
| 40万円以上 | 通常の減価償却 | 同左 |
青色申告の特例(措法28の2)は、平成18年4月1日から令和11年3月31日までに取得して業務に使った資産が対象で、1年の合計300万円までです。国税庁No.2100は「10万円以上40万円未満(令和8年3月31日までの取得は10万円以上30万円未満)」と書いています。免税事業者は税込経理なので、境目の判定も税込の金額で行います(No.2100の注)。
「30万円ちょうど」は30万円未満ではありません。令和8年3月31日までに税込30万円のバイクを買った青色申告者は特例を使えず、通常の3年償却になります。令和8年4月1日以後の取得なら40万円未満の枠に入るので全額経費にできます。納車日ではなく「取得して業務の用に供した日」で判定します。
計算例1:5万円の中古原付(4月購入・稼働割合80%)
10万円未満なので減価償却の計算はありません。買った年に消耗品費として全額を経費に入れ、私用と兼ねる分だけ按分します。
5万円の原付
取得価額 50,000円(10万円未満)
配達分 50,000円 × 80% = 40,000円
→ 買った年の経費 40,000円(白色・青色とも同じ。月割は不要)
ヘルメット・ミラー・スマホホルダーなど付属品も、1つ10万円未満ならそれぞれ買った年の消耗品費です。
計算例2:15万円の新車(7月納車・稼働割合80%)
10万円以上20万円未満なので、白色申告は「一括償却資産」と「通常の減価償却」の2択、青色申告はそれに「特例で全額」が加わります。3つを並べます。
A. 通常の減価償却(3年・0.334・月割)
年間の償却費 150,000円 × 0.334 = 50,100円
1年目(7〜12月の6か月) 50,100円 × 6/12 = 25,050円 → 配達分 × 80% = 20,040円
2年目 50,100円 × 80% = 40,080円
3年目 50,100円 × 80% = 40,080円
4年目 残り 24,750円 − 1円 = 24,749円 × 80% = 19,799円(帳簿に1円を残す)
B. 一括償却資産(3年で3分の1ずつ・月割なし)
1年あたり 150,000円 ÷ 3 = 50,000円
1〜3年目 各 50,000円 × 80% = 40,000円
→ 7月に買っても1年目から満額。年の後半に買うほど通常償却より有利
C. 青色申告の特例(30万円未満で全額)
1年目 150,000円 × 80% = 120,000円
2年目以降 0円
白色申告で年の途中にバイクを買ったなら、一括償却資産(B)が通常償却(A)より初年度の経費が大きくなります。国税庁No.2100は一括償却資産を「3年間の各年分において必要経費に算入」とだけ定めており、月割の記載はありません。年末に買った15万円のバイクでも、Bなら初年度に5万円(按分前)を落とせます。
計算例3:30万円の新車(4月納車・稼働割合80%)
20万円以上なので一括償却資産は使えません。白色申告は通常の3年償却、青色申告は令和8年4月1日以後の取得なら40万円未満の特例で全額です。
A. 通常の減価償却(3年・0.334・月割)
年間の償却費 300,000円 × 0.334 = 100,200円
1年目(4〜12月の9か月) 100,200円 × 9/12 = 75,150円 × 80% = 60,120円
2年目 100,200円 × 80% = 80,160円
3年目 100,200円 × 80% = 80,160円
4年目 残り 24,450円 − 1円 = 24,449円 × 80% = 19,559円
B. 青色申告の特例(令和8年4月1日以後の取得・40万円未満で全額)
1年目 300,000円 × 80% = 240,000円
2年目以降 0円
→ 同じ30万円でも、令和8年3月に買っていれば「30万円未満」に当たらずAの計算になる
特例を使うときは、青色申告決算書の減価償却費の計算欄に「措法28の2」と記載します(国税庁の確定申告書等作成コーナーでは「中小企業者の特例対象資産」を選ぶと自動で入ります)。
中古バイクの耐用年数と按分の根拠
中古で買ったバイクは、法定耐用年数3年をそのまま使わず、国税庁No.5404の簡便法で短くできます。
| 経過年数 | 計算 | 耐用年数 | 定額法の償却率 |
| 3年以上(法定耐用年数を全部経過) | 3年 × 20% = 0.6年 → 2年未満は2年 | 2年 | 0.500 |
| 2年落ち | (3年 − 2年)+ 2年 × 20% = 1.4年 → 2年 | 2年 | 0.500 |
| 1年落ち | (3年 − 1年)+ 1年 × 20% = 2.2年 → 端数切捨てで2年 | 2年 | 0.500 |
つまり中古バイクは何年落ちでも2年です。ただし、買ってから配達に使うまでに取得価額の50%を超える修理・改造をした場合は簡便法が使えず、法定耐用年数の3年に戻ります(No.5404)。
15万円の中古バイク(2年落ち・7月購入・稼働割合80%)
耐用年数 2年 → 年間の償却費 150,000円 × 0.500 = 75,000円
1年目 75,000円 × 6/12 = 37,500円 × 80% = 30,000円
2年目 75,000円 × 80% = 60,000円
3年目 残り 37,500円 − 1円 = 37,499円 × 80% = 29,999円
稼働割合の根拠は所得税基本通達45-2で、業務に必要な部分が50%を超えるかどうかで判定し、50%以下でも明らかに区分できる部分は経費にできます。バイクなら配達の走行距離÷総走行距離が説明しやすく、月初にオドメーターの数字をメモしておけば足ります。通勤や買い物に使わない配達専用のバイクなら100%です。
ガソリン・タイヤ・保険・軽自動車税など本体以外の経費は配達員の経費一覧に、軽自動車の減価償却(4年)は軽貨物ドライバーの確定申告にまとめています。
よくある質問
税込で10万円をわずかに超えるバイクを買いました。全額経費にできますか?
白色申告ならできません。免税事業者は税込の金額で判定するので(国税庁No.2100の注)、税込10万円以上は減価償却か、20万円未満なら一括償却資産として3年で3分の1ずつになります。青色申告なら30万円未満(令和8年4月1日以後の取得は40万円未満)の特例で買った年に全額経費にできます。
配達を始める前から持っていたバイクを配達に使い始めました。減価償却できますか?
できます。ただし取得価額はもとの購入額のままではなく、私用で使っていた期間の減価の額(法定耐用年数の1.5倍の年数で旧定額法に準じて計算。6か月以上の端数は1年)を差し引いた未償却残高から始めます(国税庁No.2108)。購入時の領収書と配達に使い始めた日を残しておき、配達に使い始めた年から稼働割合で按分した額を経費にします。
償却の途中でバイクを売ったり廃車にしたりしたらどうなりますか?
廃車にした年は、まだ償却していない残りの金額(未償却残高)を除却損としてその年の経費にできます。売った場合は、売却額と未償却残高の差が譲渡所得の計算に入ります。どちらの場合も、その年に使った月数分の減価償却費は通常どおり計上します。
リアル時給:バイクの経費も稼働ごとの「本当の時給」に反映
リアル時給は、フードデリバリー配達員のための売上・経費管理アプリです。各社アプリの売上画面をスクショで選ぶだけでAIが自動記帳し、ガソリンや修理などの経費を引いた「リアルな時給」が稼働ごとに出ます。年間の売上と経費が科目別に集計され、白色申告の収支内訳書ドラフトまでつながるので、この記事で計算した減価償却費を1行足すだけで申告の数字がそろいます。
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参考(一次資料)
いずれも2026-09-12に確認。