着なくなった服や使わなくなった家具をフリマで売った所得は、金額に関係なく非課税です。例外は1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・宝石・書画・骨とう・美術工芸品。一方で、仕入れた物や自分で作った物を売る「出店販売」は課税されます。この記事では条文とタックスアンサーで境界を確定し、同じ日に両方売る人の記録の分け方まで書きます。
この記事は令和8年分(2026年1〜12月、申告は2027年2〜3月)を前提にしています。基礎控除は令和8年分・合計所得132万円以下で104万円です(国税庁No.1199)。
所得税法第9条第1項第9号は、非課税所得として「自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゆう器、衣服その他の資産で政令で定めるものの譲渡による所得」を挙げています。国税庁No.3105はこれを「家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産」と説明しています。
フリマに持ち込む典型的な品はほぼ全部ここに入ります。子供服、本、CD、食器、家電、自転車、使わなくなった趣味の道具。買った時より安く売るのが普通なので、そもそも「所得」はマイナスのことが多いのですが、売値が買値を上回った場合でも非課税です。
非課税の裏返しとして、第9条第2項は「収入金額が取得費等の金額に満たない場合におけるその不足額」は「ないものとみなす」と定めています。つまり私物を安く売って出た損は、給与や事業の所得から引くことはできません。
所得税法施行令第25条は、非課税から外れる資産を次のように列挙しています。「一個又は一組の価額が三十万円を超えるものに限る」という条件つきです。
| 施行令第25条の区分 | 具体例 | 1個・1組30万円超なら |
|---|---|---|
| 貴石、半貴石、貴金属、真珠及びこれらの製品、べっこう製品、さんご製品、こはく製品、ぞうげ製品、七宝製品 | 金のネックレス、ダイヤの指輪、真珠のネックレス、象牙の印材 | 課税(総合課税の譲渡所得) |
| 書画、骨とう及び美術工芸品 | 掛け軸、古伊万里の皿、作家物の茶碗、絵画 | 課税(総合課税の譲渡所得) |
判定の単位は「1個または1組」です。1個5万円の骨とうを10個売って合計50万円になっても、1個ずつ見れば30万円以下なので非課税です。逆に1組で評価される茶道具一式やネックレスとイヤリングのセットは、組としての価額で見ます。
課税になった場合の計算はNo.3152のとおりです。総合課税の譲渡所得は「譲渡価額 −(取得費+譲渡費用)− 50万円」で、所有期間5年超なら長期譲渡所得として、その2分の1が課税対象になります。
非課税になるのは「生活の用に供する」資産の譲渡です。売るために仕入れた物や、売るために作った物は、最初から生活の用に供していません。国税庁No.1500は、業務に係る雑所得を「副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なもの」と説明しています。反復継続して営利目的で売れば、私物ではなく事業所得または雑所得です。
| ケース | 区分 | 理由 |
|---|---|---|
| 着なくなった自分や家族の服・靴・バッグ | 非課税 | 生活に通常必要な動産 |
| 実家の片づけで出た食器・家具を数回に分けて売る | 非課税 | 親族が生活の用に供していた動産。回数が分かれても仕入れではない |
| 古着屋やネットで安く仕入れて転売 | 課税(事業・雑所得) | 営利目的の反復継続。仕入れた物は生活用ではない |
| 自分で作ったアクセサリー・焼き菓子を販売 | 課税(事業・雑所得) | 販売目的の製作。材料費・出店料は経費になる |
| 趣味で集めた限定品を、値上がりを見込んで買い足して売る | 課税になりうる | 「生活の用」ではなく営利目的と見られる余地がある。売買の回数と仕入れの意図で判断 |
| 通勤用の車を売った | 非課税 | No.3105が通勤用自動車を生活用動産の例として明記 |
課税される側の申告要否は、会社員・パートなら給与以外の所得(売上−経費)が年間20万円を超えたら所得税の確定申告が必要です(No.1900)。20万円以下でも住民税の申告は市区町村へ必要です。専業なら所得が基礎控除104万円(令和8年分・合計所得132万円以下)を超えるあたりから所得税が発生します。立場別の詳細はフリマ出店の確定申告にまとめています。
骨董市やフリマでは、私物と仕入れ品を1つのブースで並べることがよくあります。税務署に説明できる状態にするには、記録を2系統に分けます。
家具・衣服・食器など生活に通常必要な動産の売却なら、金額に関係なく非課税です(所得税法第9条第1項第9号、国税庁No.3105)。20万円は給与所得者が給与以外の「所得」について申告が必要になる基準で、非課税の収入はそもそもこの所得に含まれません。
衣類として生活の用に供していたものなら原則非課税です。ただし書画・骨とう・美術工芸品や貴金属・宝石で、1個または1組の価額が30万円を超えるものの売却は課税対象です(所得税法施行令第25条)。総合課税の譲渡所得には年50万円の特別控除があるので(No.3152)、譲渡益が50万円以下なら税額は出ません。
私物は品目と売値のメモ、仕入れ品は帳簿への記帳と、記録を分けておきます。仕入れ品や自作品の販売は事業所得または雑所得として課税されるので、売上・仕入・出店料を記帳し、私物の売却代金はその帳簿に入れません。判定は「反復継続して営利目的で売っているか」で行います(No.1500)。
出店帳は、フリマ・マルシェ・キッチンカー出店者のための帳簿アプリです。商品をタイルとして登録しておき、出店日は売れるたびにタップするだけで売上を記録します。仕入れ品・自作品だけを商品として登録しておけば、私物の売却は帳簿に混ざらず、課税される側の売上・仕入・出店料だけがイベント別に集計されます。年末には収支内訳書のドラフトを出せます。
基本無料・買い切りPro ¥1,000 | データは端末内保存 | ブラウザで使えるWeb版
いずれも2026-09-12に確認。