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フリマ出店で私物を売った税金【生活用動産は非課税・30万円超の貴金属は例外・出店販売との境界】

フリマ・骨董市・青空市に出店する人向け | 更新: 2026-09-12 | 根拠は所得税法第9条第1項第9号・所得税法施行令第25条(e-Gov)、国税庁No.3105・No.3152・No.1500

着なくなった服や使わなくなった家具をフリマで売った所得は、金額に関係なく非課税です。例外は1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・宝石・書画・骨とう・美術工芸品。一方で、仕入れた物や自分で作った物を売る「出店販売」は課税されます。この記事では条文とタックスアンサーで境界を確定し、同じ日に両方売る人の記録の分け方まで書きます。

30秒で結論

この記事は令和8年分(2026年1〜12月、申告は2027年2〜3月)を前提にしています。基礎控除は令和8年分・合計所得132万円以下で104万円です(国税庁No.1199)。

非課税になる「生活用動産」の範囲

所得税法第9条第1項第9号は、非課税所得として「自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゆう器、衣服その他の資産で政令で定めるものの譲渡による所得」を挙げています。国税庁No.3105はこれを「家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産」と説明しています。

フリマに持ち込む典型的な品はほぼ全部ここに入ります。子供服、本、CD、食器、家電、自転車、使わなくなった趣味の道具。買った時より安く売るのが普通なので、そもそも「所得」はマイナスのことが多いのですが、売値が買値を上回った場合でも非課税です。

非課税の裏返しとして、第9条第2項は「収入金額が取得費等の金額に満たない場合におけるその不足額」は「ないものとみなす」と定めています。つまり私物を安く売って出た損は、給与や事業の所得から引くことはできません。

30万円を超える貴金属・骨とうは例外

所得税法施行令第25条は、非課税から外れる資産を次のように列挙しています。「一個又は一組の価額が三十万円を超えるものに限る」という条件つきです。

施行令第25条の区分具体例1個・1組30万円超なら
貴石、半貴石、貴金属、真珠及びこれらの製品、べっこう製品、さんご製品、こはく製品、ぞうげ製品、七宝製品金のネックレス、ダイヤの指輪、真珠のネックレス、象牙の印材課税(総合課税の譲渡所得)
書画、骨とう及び美術工芸品掛け軸、古伊万里の皿、作家物の茶碗、絵画課税(総合課税の譲渡所得)

判定の単位は「1個または1組」です。1個5万円の骨とうを10個売って合計50万円になっても、1個ずつ見れば30万円以下なので非課税です。逆に1組で評価される茶道具一式やネックレスとイヤリングのセットは、組としての価額で見ます。

課税になった場合の計算はNo.3152のとおりです。総合課税の譲渡所得は「譲渡価額 −(取得費+譲渡費用)− 50万円」で、所有期間5年超なら長期譲渡所得として、その2分の1が課税対象になります。

計算例: 15年前に60万円で買った金のネックレスを45万円で売却(出店料2,000円)
譲渡価額 450,000円 − 取得費 600,000円 − 譲渡費用 2,000円 = −152,000円
譲渡損。50万円控除を使うまでもなく課税所得はゼロ(30万円超なので非課税枠からは外れるが、税額は生じない)

計算例: 10年前に20万円で買った絵画を90万円で売却(譲渡費用なし)
900,000円 − 200,000円 − 50万円 = 200,000円
所有期間5年超の長期譲渡所得なので2分の1 → 100,000円が総合課税の対象(給与などと合算して税額を計算)
相続した品で取得費が分からない場合の扱いは、申告前に税務署へ確認してください
30万円の判定は「売値」ではなく「価額」で行います。実務では売却価額が目安になりますが、明らかに相場より安く手放した場合でも、時価が30万円を超える品は例外に当たりうると考えておく方が安全です。

「私物売却」と「出店販売」の境界

非課税になるのは「生活の用に供する」資産の譲渡です。売るために仕入れた物や、売るために作った物は、最初から生活の用に供していません。国税庁No.1500は、業務に係る雑所得を「副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なもの」と説明しています。反復継続して営利目的で売れば、私物ではなく事業所得または雑所得です。

ケース区分理由
着なくなった自分や家族の服・靴・バッグ非課税生活に通常必要な動産
実家の片づけで出た食器・家具を数回に分けて売る非課税親族が生活の用に供していた動産。回数が分かれても仕入れではない
古着屋やネットで安く仕入れて転売課税(事業・雑所得)営利目的の反復継続。仕入れた物は生活用ではない
自分で作ったアクセサリー・焼き菓子を販売課税(事業・雑所得)販売目的の製作。材料費・出店料は経費になる
趣味で集めた限定品を、値上がりを見込んで買い足して売る課税になりうる「生活の用」ではなく営利目的と見られる余地がある。売買の回数と仕入れの意図で判断
通勤用の車を売った非課税No.3105が通勤用自動車を生活用動産の例として明記

課税される側の申告要否は、会社員・パートなら給与以外の所得(売上−経費)が年間20万円を超えたら所得税の確定申告が必要です(No.1900)。20万円以下でも住民税の申告は市区町村へ必要です。専業なら所得が基礎控除104万円(令和8年分・合計所得132万円以下)を超えるあたりから所得税が発生します。立場別の詳細はフリマ出店の確定申告にまとめています。

同じ日に両方売る人の記録の分け方

骨董市やフリマでは、私物と仕入れ品を1つのブースで並べることがよくあります。税務署に説明できる状態にするには、記録を2系統に分けます。

  1. 私物: 出店前に「品目・数量・売値の予定」をメモし、売れた物に印をつける。写真を1枚撮っておく。帳簿には入れない
  2. 仕入れ品・自作品: 売上(持参数−残数×単価)、仕入・材料費、出店料、交通費を帳簿に記帳する。白色申告の記帳事項は取引の年月日・相手方・金額(No.2080)
  3. 釣り銭やレジは分けなくてよいが、閉店後にその日の売上を私物分と商品分に分けてから記録する
  4. 30万円超の貴金属・骨とうが売れたら、その品だけ「売値・取得費(分かる範囲)・売却日」を別メモに残す。譲渡所得として申告書に書く
計算例: 1日の出店で私物と仕入れ品を両方売った会社員
私物(服30点)売上 18,000円 → 非課税。帳簿に入れない
仕入れたアクセサリー 売上 25,000円 − 仕入 12,000円 − 出店料 3,000円 = 所得 10,000円
課税されるのは10,000円だけ。年間合計で20万円以下なら所得税の申告は不要(住民税の申告は必要)
「私物だから」と言って仕入れ品まで非課税にするのが一番危険な間違いです。逆に、私物の売却代金まで売上に入れて申告している人もいます。どちらも記録を分けていないことが原因なので、出店前のメモが効きます。

よくある質問

私物を売った合計が年間20万円を超えたら申告が必要ですか。

家具・衣服・食器など生活に通常必要な動産の売却なら、金額に関係なく非課税です(所得税法第9条第1項第9号、国税庁No.3105)。20万円は給与所得者が給与以外の「所得」について申告が必要になる基準で、非課税の収入はそもそもこの所得に含まれません。

祖母の形見の着物や帯を骨董市で売りました。課税されますか。

衣類として生活の用に供していたものなら原則非課税です。ただし書画・骨とう・美術工芸品や貴金属・宝石で、1個または1組の価額が30万円を超えるものの売却は課税対象です(所得税法施行令第25条)。総合課税の譲渡所得には年50万円の特別控除があるので(No.3152)、譲渡益が50万円以下なら税額は出ません。

同じ日に私物と仕入れた商品を一緒に売りました。どう分けますか。

私物は品目と売値のメモ、仕入れ品は帳簿への記帳と、記録を分けておきます。仕入れ品や自作品の販売は事業所得または雑所得として課税されるので、売上・仕入・出店料を記帳し、私物の売却代金はその帳簿に入れません。判定は「反復継続して営利目的で売っているか」で行います(No.1500)。

出店帳で「課税される側」の記録だけを残す

出店帳は、フリマ・マルシェ・キッチンカー出店者のための帳簿アプリです。商品をタイルとして登録しておき、出店日は売れるたびにタップするだけで売上を記録します。仕入れ品・自作品だけを商品として登録しておけば、私物の売却は帳簿に混ざらず、課税される側の売上・仕入・出店料だけがイベント別に集計されます。年末には収支内訳書のドラフトを出せます。

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参考(一次資料)

いずれも2026-09-12に確認。