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キッチンカーのPL保険の勘定科目【損害保険料・年払いは払った年の経費・複数年は按分】

キッチンカー・移動販売・飲食のマルシェ出店者向け | 更新: 2026-09-12 | 根拠は収支内訳書(一般用)様式、所得税基本通達37-30の2、国税庁No.2210、日本食品衛生協会「食品営業賠償共済」

PL保険の保険料の勘定科目は「損害保険料」です。白色申告の収支内訳書(一般用)には損害保険料の欄がそのままあります。年払いにしている場合、保険期間が支払日から1年以内なら、払った年の経費にすることが通達で認められています。この記事では科目の整理、年払い・複数年払いの計算、補償の中身、簡易帳簿の書き方まで一次資料で確認して書きます。

30秒で結論

この記事は令和8年分(2026年1〜12月、申告は2027年2〜3月)を前提にしています。

勘定科目は「損害保険料」、収支内訳書のどこに書くか

国税庁の収支内訳書(一般用)の経費欄には、租税公課・荷造運賃・水道光熱費・旅費交通費・通信費・広告宣伝費・接待交際費・損害保険料・修繕費・消耗品費・減価償却費・福利厚生費・給料賃金・外注工賃・利子割引料・地代家賃・貸倒金・雑費、という並びで印字されています。PL保険の保険料はこの「損害保険料」の欄です。科目名を自分で作る必要はありません。

キッチンカーに関係する保険を整理すると次のようになります。

支出扱い書く場所
PL保険(生産物賠償責任保険)・食品営業賠償共済経費損害保険料
イベント出店者向けの賠償保険(1日単位のもの)経費損害保険料
車両の自賠責保険・任意保険(事業専用車)経費損害保険料(車両費にまとめている人はそのまま継続でよい)
厨房設備・什器の火災保険・動産総合保険経費損害保険料
国民健康保険料・国民年金保険料経費ではない確定申告書の社会保険料控除
自分の生命保険・医療保険経費ではない生命保険料控除
自宅兼用の車の任意保険事業割合分だけ経費損害保険料(家事関連費の按分、No.2210)

自宅と兼用している車の保険は、国税庁No.2210の家事関連費の考え方で「業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる金額」だけが経費です。走行距離や稼働日数で事業割合を決め、毎年同じ基準で按分します。

年払い・複数年払いの処理(通達37-30の2)

所得税の原則では、前払費用のうち「その年12月31日においてまだ提供を受けていない役務に対応するもの」はその年の経費になりません。保険料も保険期間に対応させて配分するのが原則です。

ただし所得税基本通達37-30の2(短期の前払費用)は、「その支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する年分の必要経費に算入しているときは、これを認める」としています。年払いのPL保険はほぼこの条件に収まります。

支払いのパターン原則通達37-30の2の適用
2026年4月に、2026年4月〜2027年3月の1年分を支払い2026年9か月分・2027年3か月分に按分2026年に全額経費にできる
2026年12月に、2027年1月〜12月の1年分を支払い全額2027年の経費支払日から1年以内なので2026年に全額経費にできる(継続が条件)
2026年4月に、3年分を一括で支払い3年に按分1年を超えるので適用なし。按分する
月払い払った月の分がその年の経費そもそも前払いがないので論点にならない
計算例: 年間保険料36,000円、保険期間2026年7月1日〜2027年6月30日を2026年6月に一括払い
原則: 2026年分 36,000円 × 6/12 = 18,000円、2027年分 18,000円
通達37-30の2を使う場合: 2026年分に36,000円を全額計上(翌年以降も同じ処理を続ける)

計算例: 3年契約 保険料72,000円を2026年4月に一括払い
2026年分 72,000円 × 9/36 = 18,000円 / 2027年分 24,000円 / 2028年分 24,000円 / 2029年分 6,000円
1年を超える契約は按分が必須
通達の条件は「継続して」です。利益が多い年だけ全額計上し、少ない年は按分する、という使い分けはできません。開業初年度にどちらにするか決めたら、そのまま続けてください。

PL保険で何が補償されるか(公式ページで確認)

PL保険は「提供した食品が原因で客に損害を与えた時の賠償」を補償する保険です。商品ごとに中身が違うので、ここでは公益社団法人日本食品衛生協会の「食品営業賠償共済」の公式ページに書かれている内容を例として引きます(2026-09-12確認)。

項目食品営業賠償共済(日本食品衛生協会)の記載
対象となる事故提供した食品が原因の食中毒、腐敗・変敗した食品で客が治療を受けた、従業員の保菌による感染、異物混入による口内の損傷、容器の破損による損傷 など
支払われる保険金被害者への損害賠償金(治療費・入院費・薬代・付添い看護料・慰謝料・休業補償費用など)、応急手当・護送などの緊急措置の費用、訴訟費用・弁護士費用(事前相談が条件)
自己負担額1事故につき3,000円
支払限度額レギュラー: 1名5,000万円・期間中5,000万円 / ワイド: 1名1億円・期間中1億円(口数で期間中限度額を最高5億円まで増額可)
加入資格食品衛生協会の会員

年間掛金は業種と年間取扱高で決まる料率表で、飲食店・仕出し・食品製造などの区分ごとに数千円台からの設定です。正確な額は協会の料率表で確認してください。損保各社のPL保険も、対象事故と支払内容の考え方はおおむね同じ構造ですが、限度額・免責・対象外の事故は商品ごとに違います。

実務で確認しておく点は次の3つです。

  1. 主催者の出店規約が求める条件(「賠償責任保険への加入」「1事故1,000万円以上」など)に、自分の証券の限度額が合っているか
  2. キッチンカーでの調理提供が補償の対象に含まれているか(店舗営業のみが対象の商品もある)
  3. 加入証明として何を出せるか(証券の写し・加入者証)。イベントの申込時に提出を求められることが多い

簡易帳簿の書き方

白色申告の簡易帳簿なら、経費は日付・相手・金額・科目の1行で足ります(No.2080)。

日付相手・内容科目金額
2026/6/25○○食品衛生協会 食品営業賠償共済 年間掛金(2026/7/1〜2027/6/30)損害保険料36,000円
2026/9/20△△マルシェ 出店者向け1日賠償保険損害保険料1,500円
2026/11/5□□損保 キッチンカー任意保険(事業専用)損害保険料48,000円

年末はこの科目の合計を収支内訳書の「損害保険料」欄に転記するだけです。保険証券と支払いの控えは5年間保存します(No.2080)。

よくある質問

PL保険の保険料は「保険料」と「損害保険料」のどちらの科目ですか。

収支内訳書(一般用)の経費欄には「損害保険料」の欄があるので、白色申告ならこの欄に書きます。会計ソフトで「保険料」と表示されている場合も中身は同じで、大事なのは毎年同じ科目で続けることです。国民健康保険料や生命保険料は経費ではなく所得控除なので、ここには入れません。

12月に翌年1年分のPL保険料を払いました。どちらの年の経費ですか。

原則は翌年の経費ですが、支払った日から1年以内に役務の提供を受ける前払費用を、継続して支払った年の経費にしている場合は認められます(所得税基本通達37-30の2)。毎年同じ処理を続けることが条件で、年によって有利な方を選ぶ使い方はできません。

イベント主催者からPL保険の加入証明を求められました。何を提出しますか。

保険証券または加入者証の写しが一般的です。日本食品衛生協会の食品営業賠償共済のように、食中毒・異物混入・容器の破損による損害賠償と応急手当・訴訟費用を補償する商品が対象になります。補償の範囲と限度額は商品ごとに違うので、主催者の規約が求める条件(限度額など)を約款で確認してください。

出店帳で保険料も「イベントと同じ帳簿」に残す

出店帳は、キッチンカー・マルシェ・フリマ出店者のための帳簿アプリです。出店日の売上は商品タイルをタップするだけで記録し、出店料や保険料などの経費も同じ帳簿に入ります。年間の保険料と出店ごとの売上が1つに集まるので、「保険料まで引いて今年いくら残ったか」が見え、年末には収支内訳書のドラフトを出せます。

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参考(一次資料)

いずれも2026-09-12に確認。