転作助成金(水田活用の直接支払交付金)は課税されます。農業所得の収入として、白色申告なら収支内訳書(農業所得用)の③雑収入に書きます。計上する年は「支払通知書の発行日が属する年」で、入金日ではありません。この記事では非課税にならない理由、様式のどこに書くか、令和8年度の交付単価、記帳例、消費税の扱いを一次資料で確認して書きます。
この記事は令和8年分(2026年1〜12月、申告は2027年2〜3月)を前提にしています。交付単価は農林水産省の令和8年度予算概算決定額の資料によるもので、実際の交付は地域農業再生協議会を通じて行われます。
「国からもらった補助金は非課税」と思われがちですが、所得税で総収入金額に算入しなくてよい国庫補助金等は限られています。所得税法第42条が対象にしているのは「固定資産の取得又は改良に充てるための国又は地方公共団体の補助金又は給付金」で、その補助金で実際に固定資産を取得した場合に、その額を総収入金額に算入しないという仕組みです。
水田活用の直接支払交付金は、水田で麦・大豆・飼料作物などを作付けしたことに対して面積当たりで支払われるものです。トラクターやハウスを買うための補助金ではなく、転作による収入の補てんなので、第42条の対象ではありません。所得税法第36条の「その年において収入すべき金額」として、農業所得の総収入金額に入ります。
農林水産省の収入保険Q&A(問20)にも「税務申告上、雑収入として計上されるもの」という表現で、交付金が申告上の収入であることを前提にした記述があります。
収支内訳書(農業所得用)の収入欄は、①販売金額・②家事消費・事業消費金額・③雑収入・④小計・⑤⑥農産物の棚卸高・⑦収入金額の計、という構造です。転作の交付金は③雑収入に書きます。様式の番号ごとの書き方は収支内訳書(農業所得用)の書き方にまとめています。
| 収入の種類 | 収支内訳書の欄 |
|---|---|
| 米・麦・大豆・野菜の販売代金(JA・直売所・個人販売) | ①販売金額 |
| 自分の家で食べた米・野菜 | ②家事消費・事業消費金額 |
| 水田活用の直接支払交付金(戦略作物助成・産地交付金・都道府県連携型助成) | ③雑収入 |
| 畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)・米・畑作物の収入減少影響緩和交付金(ナラシ対策) | ③雑収入 |
| 農業共済金・収入保険の保険金 | ③雑収入 |
| 農作業受託料・出荷奨励金 | ③雑収入 |
| トラクター購入への補助金(第42条の適用を受ける場合) | 総収入金額に算入しない(確定申告書に適用を受ける旨の記載が必要) |
転作の交付金は、作付けした年の秋以降に交付決定・支払通知が出て、年末から翌年にかけて振り込まれます。年をまたぐことが多いので、どの年の収入かを決めるルールが必要です。
農林水産省の収入保険Q&A問28は、交付金が収穫年の翌年に支払われる場合について「税制度上、翌年の収入金額として計上することとなっている」とし、「収入の計上日は、実際に交付金を受け取った日ではなく、交付金の支払通知書の発行日」と説明しています。所得税法第36条の「収入すべき金額」の考え方に沿った整理です。
通知書が来る前に金額だけ分かっているケース(協議会からの内示など)では、通知書の発行日を待って計上します。二重計上を避けるため、帳簿には「○年○月○日付 支払通知書」と書いておきます。
農林水産省の「水田活用の直接支払交付金等(令和8年度予算概算決定額)」に載っている主な単価です。産地交付金は地域ごとに使い道と単価が決まるため、自分の地域の水田収益力強化ビジョンで確認します。
| 区分 | 対象作物 | 交付単価(令和8年度予算) |
|---|---|---|
| 戦略作物助成 | 麦・大豆・飼料作物 | 3.5万円/10a(多年生牧草の収穫のみの年は1万円/10a) |
| 戦略作物助成 | 加工用米 | 2万円/10a |
| 戦略作物助成 | WCS用稲 | 8万円/10a |
| 戦略作物助成 | 飼料用米・米粉用米 | 収量に応じ5.5万円〜10.5万円/10a(一般品種の標準単価は6.5万円/10a) |
| 産地交付金 | 地域で定める作物・取組 | 地域ごとに設定 |
| 都道府県連携型助成 | 転換作物の拡大面積 | 都道府県の支援単価と同額(上限0.5万円/10a) |
いわゆる「5年水張りルール」については、資料に令和7年・8年の対応として記載があります。交付対象水田の要件は年度で変わるので、作付計画の前に農水省のページと地域協議会の案内で確認してください。
白色申告の簡易帳簿では、雑収入も1行で足ります。
| 日付 | 相手・内容 | 科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 2026/12/20 | ○○地域農業再生協議会 水田活用の直接支払交付金(大豆50a)支払通知書 12/20付 | 雑収入 | 175,000円 |
| 2027/1/15 | 同上 入金(12/20計上分の回収) | 未収金の回収(収入には二重計上しない) | 175,000円 |
消費税は、国や地方公共団体からの補助金や助成金は「対価を得て行う取引ではない」ため課税の対象になりません(国税庁No.6157)。免税事業者の判定に使う課税売上高にも含めないので、交付金が多い年でも、それだけで1,000万円を超えて課税事業者になることはありません。
非課税ではありません。所得税で総収入金額に入れなくてよい国庫補助金等は、固定資産の取得や改良に充てるための補助金に限られます(所得税法第42条)。水田活用の直接支払交付金は作付に対して面積払いされる収入の補てんなので、農業所得の総収入金額に含めます(同法第36条)。
収入の計上日は入金日ではなく、交付金の支払通知書の発行日です(農水省 収入保険Q&A問28)。12月に通知書が発行されていれば、その年の雑収入として計上し、未収の状態で年を越します。通知書の発行が翌年なら翌年の収入です。
かかりません。国や地方公共団体からの補助金や助成金は、対価を得て行う取引ではないため消費税の課税対象外(不課税)です(国税庁No.6157)。課税事業者の場合も、交付金は課税売上高に含めません。
農家帳は、兼業農家・直売農家のための帳簿アプリです。売上・家事消費・経費を収支内訳書(農業所得用)の科目そのままで記帳でき、交付金のような雑収入も日付と金額を入れるだけで③雑収入に集計されます。年末には①〜⑰の番号どおりの収支内訳書ドラフトが自動でできるので、通知書が届いた日にその場で入力しておけば、申告時に「あの交付金はどの年だったか」を思い出す作業がなくなります。
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いずれも2026-09-12に確認。