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転作助成金・水田活用の直接支払交付金は課税される【収支内訳書は③雑収入・計上する年・令和8年度の単価】

兼業農家・水田で麦や大豆に転作している農家向け | 更新: 2026-09-12 | 根拠は所得税法第36条・第42条(e-Gov)、国税庁No.6157、収支内訳書(農業所得用)様式、農林水産省「水田活用の直接支払交付金」「収入保険Q&A」

転作助成金(水田活用の直接支払交付金)は課税されます。農業所得の収入として、白色申告なら収支内訳書(農業所得用)の③雑収入に書きます。計上する年は「支払通知書の発行日が属する年」で、入金日ではありません。この記事では非課税にならない理由、様式のどこに書くか、令和8年度の交付単価、記帳例、消費税の扱いを一次資料で確認して書きます。

30秒で結論

この記事は令和8年分(2026年1〜12月、申告は2027年2〜3月)を前提にしています。交付単価は農林水産省の令和8年度予算概算決定額の資料によるもので、実際の交付は地域農業再生協議会を通じて行われます。

なぜ非課税にならないのか(条文)

「国からもらった補助金は非課税」と思われがちですが、所得税で総収入金額に算入しなくてよい国庫補助金等は限られています。所得税法第42条が対象にしているのは「固定資産の取得又は改良に充てるための国又は地方公共団体の補助金又は給付金」で、その補助金で実際に固定資産を取得した場合に、その額を総収入金額に算入しないという仕組みです。

水田活用の直接支払交付金は、水田で麦・大豆・飼料作物などを作付けしたことに対して面積当たりで支払われるものです。トラクターやハウスを買うための補助金ではなく、転作による収入の補てんなので、第42条の対象ではありません。所得税法第36条の「その年において収入すべき金額」として、農業所得の総収入金額に入ります。

農林水産省の収入保険Q&A(問20)にも「税務申告上、雑収入として計上されるもの」という表現で、交付金が申告上の収入であることを前提にした記述があります。

収支内訳書(農業所得用)のどこに書くか

収支内訳書(農業所得用)の収入欄は、①販売金額・②家事消費・事業消費金額・③雑収入・④小計・⑤⑥農産物の棚卸高・⑦収入金額の計、という構造です。転作の交付金は③雑収入に書きます。様式の番号ごとの書き方は収支内訳書(農業所得用)の書き方にまとめています。

収入の種類収支内訳書の欄
米・麦・大豆・野菜の販売代金(JA・直売所・個人販売)①販売金額
自分の家で食べた米・野菜②家事消費・事業消費金額
水田活用の直接支払交付金(戦略作物助成・産地交付金・都道府県連携型助成)③雑収入
畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)・米・畑作物の収入減少影響緩和交付金(ナラシ対策)③雑収入
農業共済金・収入保険の保険金③雑収入
農作業受託料・出荷奨励金③雑収入
トラクター購入への補助金(第42条の適用を受ける場合)総収入金額に算入しない(確定申告書に適用を受ける旨の記載が必要)
畑作物の直接支払交付金の数量払は、農水省の収入保険では「農産物の販売金額に含める」扱いですが、これは収入保険の対象収入を決めるための整理です。確定申告の収支内訳書では雑収入に書きます。混同しないでください。

いつの年の収入か(計上する年)

転作の交付金は、作付けした年の秋以降に交付決定・支払通知が出て、年末から翌年にかけて振り込まれます。年をまたぐことが多いので、どの年の収入かを決めるルールが必要です。

農林水産省の収入保険Q&A問28は、交付金が収穫年の翌年に支払われる場合について「税制度上、翌年の収入金額として計上することとなっている」とし、「収入の計上日は、実際に交付金を受け取った日ではなく、交付金の支払通知書の発行日」と説明しています。所得税法第36条の「収入すべき金額」の考え方に沿った整理です。

計算例: 令和8年産で水田50aを大豆に転作(戦略作物助成3.5万円/10a)
3.5万円 × 5(10a単位)= 175,000円
支払通知書の発行日が令和8年12月20日、振込が令和9年1月15日
令和8年分の③雑収入に175,000円を計上(年末時点では未収)
支払通知書の発行日が令和9年1月10日なら → 令和9年分の雑収入

通知書が来る前に金額だけ分かっているケース(協議会からの内示など)では、通知書の発行日を待って計上します。二重計上を避けるため、帳簿には「○年○月○日付 支払通知書」と書いておきます。

令和8年度の交付単価(農林水産省の資料から)

農林水産省の「水田活用の直接支払交付金等(令和8年度予算概算決定額)」に載っている主な単価です。産地交付金は地域ごとに使い道と単価が決まるため、自分の地域の水田収益力強化ビジョンで確認します。

区分対象作物交付単価(令和8年度予算)
戦略作物助成麦・大豆・飼料作物3.5万円/10a(多年生牧草の収穫のみの年は1万円/10a)
戦略作物助成加工用米2万円/10a
戦略作物助成WCS用稲8万円/10a
戦略作物助成飼料用米・米粉用米収量に応じ5.5万円〜10.5万円/10a(一般品種の標準単価は6.5万円/10a)
産地交付金地域で定める作物・取組地域ごとに設定
都道府県連携型助成転換作物の拡大面積都道府県の支援単価と同額(上限0.5万円/10a)

いわゆる「5年水張りルール」については、資料に令和7年・8年の対応として記載があります。交付対象水田の要件は年度で変わるので、作付計画の前に農水省のページと地域協議会の案内で確認してください。

簡易帳簿の記入例と消費税

白色申告の簡易帳簿では、雑収入も1行で足ります。

日付相手・内容科目金額
2026/12/20○○地域農業再生協議会 水田活用の直接支払交付金(大豆50a)支払通知書 12/20付雑収入175,000円
2027/1/15同上 入金(12/20計上分の回収)未収金の回収(収入には二重計上しない)175,000円

消費税は、国や地方公共団体からの補助金や助成金は「対価を得て行う取引ではない」ため課税の対象になりません(国税庁No.6157)。免税事業者の判定に使う課税売上高にも含めないので、交付金が多い年でも、それだけで1,000万円を超えて課税事業者になることはありません。

収入保険に加入している人は、水田活用の直接支払交付金(面積払)は収入保険の対象収入に含まれません。一方、畑作物の直接支払交付金などの数量払は対象収入に含まれます(農水省 収入保険の詳細ページ)。保険の対象収入と申告の雑収入は別の集計です。

よくある質問

転作の交付金は「補助金だから非課税」ではないのですか。

非課税ではありません。所得税で総収入金額に入れなくてよい国庫補助金等は、固定資産の取得や改良に充てるための補助金に限られます(所得税法第42条)。水田活用の直接支払交付金は作付に対して面積払いされる収入の補てんなので、農業所得の総収入金額に含めます(同法第36条)。

12月に交付決定の通知が届き、振込は翌年1月でした。どちらの年の収入ですか。

収入の計上日は入金日ではなく、交付金の支払通知書の発行日です(農水省 収入保険Q&A問28)。12月に通知書が発行されていれば、その年の雑収入として計上し、未収の状態で年を越します。通知書の発行が翌年なら翌年の収入です。

交付金に消費税はかかりますか。

かかりません。国や地方公共団体からの補助金や助成金は、対価を得て行う取引ではないため消費税の課税対象外(不課税)です(国税庁No.6157)。課税事業者の場合も、交付金は課税売上高に含めません。

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参考(一次資料)

いずれも2026-09-12に確認。