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収支内訳書(農業所得用)の書き方【兼業農家向けにやさしく解説】

兼業農家・直売農家向け | 更新: 2026-07-17 | 本記事は国税庁「収支内訳書(農業所得用)の書き方」に基づいています。最新の様式・詳細は国税庁でご確認ください

収支内訳書(農業所得用)とは

白色申告で農業所得を申告するときに、確定申告書と一緒に出す「農業の家計簿のまとめ」です。兼業農家・直売所やメルカリで売っている方・年金+農業の方は、多くの場合この様式です(青色申告の承認を受けている方は青色申告決算書)。

様式には①〜⑰の番号が振られています。この番号の順に埋めていけば完成します。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば計算は自動なので、必要なのは番号ごとの集計値だけです。

収入金額(①〜⑦)

番号項目何を書くか
販売金額本年中に販売した農産物の金額。代金をまだ受け取っていなくても、本年中に販売したものは全て含めます
家事消費・事業消費金額自分の家で食べた・使った農産物。収穫時の生産者販売価額で計算して記入します(下で詳しく)
雑収入受取共済金・出荷奨励金・価格差補填金・農作業受託料・事業分量分配金・課税対象の助成金など
小計①+②+③
⑤⑥農産物の棚卸高年始(期首)・年末(期末)に残っている農産物の金額。米麦などの穀物以外で数量がわずかなら省略できます
収入金額の計④−⑤+⑥

いちばん忘れやすい「家事消費」(②)

農業の申告に特有のルールがこれです。自分の家で食べたお米や野菜も、収入として計上する必要があります。金額は「収穫したときの生産者販売価額(いつも売っている単価)」で計算します。

例: 自家用に食べたお米が年間60kg、販売単価が400円/kgなら、60×400=24,000円を②に記入します。雇った人への賄いに使った分(事業消費)も同じ欄です。

必要経費(⑧〜⑭)

経費は「独立した枠のある5科目」と「その他の経費」に分かれます。

番号科目
雇人費常雇・臨時雇人の労賃や賄費(アルバイトの日当など)
小作料・賃借料農地の賃借料、農機具のレンタル料、農協の共同施設利用料
減価償却費建物・トラクターなど農機具・車両の償却費(10万円以上の農機はここ)
貸倒金売掛金などの貸倒損失
利子割引料事業用資金の借入金の利子など
その他の経費 小計租税公課・種苗費・肥料費・農薬衛生費・農具費・諸材料費・修繕費・動力光熱費・作業用衣料費・農業共済掛金・荷造運賃手数料・土地改良費・雑費など
経費の計⑧〜⑬の合計(農産物以外の棚卸高・育成費用の調整がある場合は加減)

どの支出がどの科目になるかは 農業の経費 勘定科目 早見表 にまとめています。所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金・罰金は経費になりません。

差引金額から所得金額へ(⑮〜⑰)

番号項目計算
差引金額⑦−⑭(赤字ならマイナスのまま)
専従者控除家族が農業に専従している場合の控除(下で詳しく)
所得金額⑮−⑯。これが「農業所得」として確定申告書に転記されます

専従者控除(⑯)の計算

生計を一にする配偶者や15歳以上の親族が、年間6か月を超えて農業に専ら従事している場合、1人につき次のいずれか少ない方を経費にできます。

  1. 配偶者は86万円、その他の親族は1人50万円
  2. 差引金額⑮ ÷(専従者の数+1)

例: ⑮が120万円で配偶者が専従者なら、120万÷2=60万円 < 86万円 なので控除は60万円です。

e-Taxならスマホで完結

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」はスマホ対応で、収支内訳書(農業所得用)も作れます。①〜⑯の集計値さえ手元にあれば、入力は10分程度。マイナンバーカードがあればそのままe-Taxで提出できます。減価償却費も資産を登録すれば自動計算です。

集計を「年末の地獄」にしない方法

収支内訳書づくりが大変なのは、書き方ではなく1年分の集計です。レシートの山と直売所の精算書を年明けにまとめて仕分けるのが一番つらいパターン。日々の記帳を仕組み化しましょう。

アプリ「農家帳」は、収支内訳書(農業所得用)の科目そのままで記帳でき、家事消費も「数量を入れるだけ」で自動計上。レシートは写真を撮るだけでAIが科目に自動分類し、年末には①〜⑰の番号どおりのドラフトが出来上がります。

農家帳で申告準備を始める(無料・Web版あり)

iOSアプリは近日公開。記帳・集計・収支内訳書ドラフトまで無料で使えます。

よくある質問

Q. 農業が赤字なら申告しなくていい?

給与など他の所得がある方は、農業の赤字を損益通算できる場合があります。赤字でも収支内訳書を作って申告した方が有利になるケースが多いので、まず集計してみましょう。

Q. 棚卸は必ず必要?

毎年同じ程度の規模で作付けし数量がわずかな農産物(野菜など)は棚卸を省略できます。米麦など年をまたいで在庫が残るものは期首・期末の棚卸高を記入します。

Q. 消費税の申告も必要?

課税売上高が1,000万円を超える場合などに消費税の課税事業者となります。大半の兼業農家は免税事業者のため、所得税の確定申告のみで済みます。