工具は「税込の取得価額」で4段階に分かれます。10万円未満は全額その年の経費、20万円未満は3年で均等、青色申告なら30万円未満(令和8年4月1日以後の取得は40万円未満)まで全額、それ以上は耐用年数で償却です。一人親方が買う溶接機・発電機・電動工具・足場材は、ほとんどがこの壁のどこかに当たります。価格帯ごとの処理と、計算例、耐用年数の当てはめ方を書きます。
この記事は令和8年分(2026年1〜12月、申告は2027年2〜3月)を前提にしています。金額の判定は税込経理なら税込で行います(No.2100)。免税事業者は税込経理です。価格帯の例は市場の目安で、一次資料ではありません。
| 税込の取得価額 | 白色申告 | 青色申告 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 10万円未満 | 全額その年の経費 | 全額その年の経費 | No.2100(少額の減価償却資産) |
| 10万円以上 20万円未満 | 一括償却資産:3年で均等(3分の1ずつ) | 全額その年の経費(特例)か、一括償却資産か選べる | No.2100、措法28条の2 |
| 20万円以上 30万円未満 | 通常の減価償却 | 全額その年の経費(年300万円まで) | 措法28条の2(明細書の添付が要件) |
| 30万円以上 40万円未満 | 通常の減価償却 | 令和8年4月1日〜令和11年3月31日の取得なら全額その年の経費。令和8年3月31日以前の取得は通常の減価償却 | No.2100(改正後の記載) |
| 40万円以上 | 通常の減価償却 | 通常の減価償却 | No.2100、No.2106 |
青色申告の特例は「常時使用する従業員が一定数以下の青色申告者」が対象で、一人親方はまず該当します。確定申告書に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付することが要件です(措法28条の2第3項)。国税庁の確定申告書等作成コーナーで青色申告決算書を作る場合は、1件ごとに入力すれば明細書は別途不要とされています。
価格帯は市場の目安です。実際の処理は自分が払った税込額で判定してください。
| もの | よくある価格帯(税込・目安) | 白色 | 青色 | 償却する場合の耐用年数 |
|---|---|---|---|---|
| インパクトドライバー・丸ノコ・グラインダー | 1万〜6万円 | 全額経費 | 全額経費 | —(10万円未満) |
| レーザー墨出し器(電子式の測定工具) | 3万〜15万円 | 10万円未満なら全額。10万円以上は3年均等 | 全額経費 | 測定工具及び検査工具(電気・電子を利用するもの)5年 |
| 100V半自動溶接機・エアコンプレッサー | 5万〜18万円 | 10万円以上は3年均等 | 全額経費 | 下記「工具か機械装置か」参照 |
| エンジン発電機(2〜3kVA) | 10万〜30万円 | 20万円未満は3年均等、20万円以上は償却 | 全額経費 | 同上 |
| 200V溶接機・大型発電機 | 25万〜45万円 | 償却 | 令和8年4月以後の取得で40万円未満なら全額。40万円以上は償却 | 同上 |
| 金属製の足場材(単管・クランプ・ブラケット一式) | 20万〜60万円 | 償却 | 40万円未満なら全額。以上は償却 | 工具「金属製柱及びカッペ」3年(取扱通達2-6-4) |
工具か機械装置か。溶接機・発電機・コンプレッサー・電動工具は、耐用年数省令の別表に名前が個別に載っていません。当てはめ方は2つあります。別表第一の「工具」のうち「前掲の区分によらないもの・その他の主として金属製のもの」なら8年(その他のものは4年)、別表第二の「機械及び装置」のうち「総合工事業用設備」なら6年です。どちらになるかは資産の性格と事業の内容で分かれ、判定は税務署で確認してください。この記事の計算例は8年で置きます。金属製の足場材だけは通達で明記されていて、工具の「金属製柱及びカッペ」の耐用年数3年を使います。
個人事業主の法定償却方法は定額法です。各年の償却費は取得価額 × 定額法の償却率で、年の途中で使い始めたら12で割って使った月数を掛けます(No.2106)。耐用年数省令別表第八の定額法の償却率は、2年0.500・3年0.334・4年0.250・5年0.200・6年0.167・8年0.125です。
領収書などの書類は5年、帳簿は7年の保存義務があります(白色申告者・国税庁No.2080)。償却が数年続く資産は、買った年のレシートを最後の年まで追える場所に置いてください。
自分の経理方式に合わせます。税込経理なら税込金額、税抜経理なら税抜金額で判定します(国税庁No.2100)。免税事業者は税込経理しかできないので税込で判定します。本体98,000円でも税込107,800円なら10万円以上になり、全額その年の経費にはできません。
取得価額は通常1単位として取引される単位、つまり機能する1組で判定するのが原則です。足場として1組で使うために買い揃えたものは、合計額で判定される可能性が高いと考えてください。金属製の足場材は工具の「金属製柱及びカッペ」の耐用年数3年を適用します(耐用年数の適用等に関する取扱通達2-6-4)。既存の足場に少量を補充する消耗的な買い足しとは区別されるので、迷うときは税務署に確認してください。
白色申告では30万円未満の特例は使えません。20万円以上なので一括償却資産にもならず、通常の減価償却になります。耐用年数を8年とすれば年31,250円(税込250,000円×0.125)で、年の途中の取得は月割です。翌年から青色申告に切り替えれば、その年以後に取得する40万円未満の工具は全額その年の経費にできます。青色申告承認申請書は使いたい年の3月15日までに提出します(国税庁No.2070)。
親方帳は一人親方・職人の出面帳アプリです。工具や材料のレシートは撮るだけでAIが読み取り、建設業の勘定科目に自動分類して記帳されます。取得日と税込金額がその場で記録に残るので、この記事の「買った日に3つ書く」のうち日付と金額は自動で埋まります。出面から請求書、経費、確定申告の準備までが1本でつながります。減価償却の計算そのものは申告時に国税庁の作成コーナーなどで行ってください。
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いずれも2026-09-12に確認。