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一人親方の工具・機械の減価償却【10万・20万・30万(40万)円の壁と計算例】

一人親方・職人向け | 更新: 2026-09-12 | 根拠は国税庁No.2100・No.2106・No.5408、租税特別措置法28条の2、耐用年数省令別表第一・第二・第八、耐用年数の適用等に関する取扱通達2-6-4

工具は「税込の取得価額」で4段階に分かれます。10万円未満は全額その年の経費、20万円未満は3年で均等、青色申告なら30万円未満(令和8年4月1日以後の取得は40万円未満)まで全額、それ以上は耐用年数で償却です。一人親方が買う溶接機・発電機・電動工具・足場材は、ほとんどがこの壁のどこかに当たります。価格帯ごとの処理と、計算例、耐用年数の当てはめ方を書きます。

30秒で結論

この記事は令和8年分(2026年1〜12月、申告は2027年2〜3月)を前提にしています。金額の判定は税込経理なら税込で行います(No.2100)。免税事業者は税込経理です。価格帯の例は市場の目安で、一次資料ではありません。

4つの壁と、白色・青色の違い

税込の取得価額白色申告青色申告根拠
10万円未満全額その年の経費全額その年の経費No.2100(少額の減価償却資産)
10万円以上 20万円未満一括償却資産:3年で均等(3分の1ずつ)全額その年の経費(特例)か、一括償却資産か選べるNo.2100、措法28条の2
20万円以上 30万円未満通常の減価償却全額その年の経費(年300万円まで)措法28条の2(明細書の添付が要件)
30万円以上 40万円未満通常の減価償却令和8年4月1日〜令和11年3月31日の取得なら全額その年の経費。令和8年3月31日以前の取得は通常の減価償却No.2100(改正後の記載)
40万円以上通常の減価償却通常の減価償却No.2100、No.2106

青色申告の特例は「常時使用する従業員が一定数以下の青色申告者」が対象で、一人親方はまず該当します。確定申告書に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付することが要件です(措法28条の2第3項)。国税庁の確定申告書等作成コーナーで青色申告決算書を作る場合は、1件ごとに入力すれば明細書は別途不要とされています。

40万円への引き上げは、国税庁のNo.2100では「令和8年3月31日までの取得は30万円未満、以後は40万円未満」と書かれています。一方、同じ国税庁のNo.5408(法人向け)とe-Gov法令検索の措法28条の2の条文は2026-09-12時点で30万円・令和8年3月31日のままでした。適用する前に、取得日と最新の条文を税務署か国税庁のページで確認してください。

価格帯別:溶接機・発電機・電動工具・足場材はどこに当たるか

価格帯は市場の目安です。実際の処理は自分が払った税込額で判定してください。

ものよくある価格帯(税込・目安)白色青色償却する場合の耐用年数
インパクトドライバー・丸ノコ・グラインダー1万〜6万円全額経費全額経費—(10万円未満)
レーザー墨出し器(電子式の測定工具)3万〜15万円10万円未満なら全額。10万円以上は3年均等全額経費測定工具及び検査工具(電気・電子を利用するもの)5年
100V半自動溶接機・エアコンプレッサー5万〜18万円10万円以上は3年均等全額経費下記「工具か機械装置か」参照
エンジン発電機(2〜3kVA)10万〜30万円20万円未満は3年均等、20万円以上は償却全額経費同上
200V溶接機・大型発電機25万〜45万円償却令和8年4月以後の取得で40万円未満なら全額。40万円以上は償却同上
金属製の足場材(単管・クランプ・ブラケット一式)20万〜60万円償却40万円未満なら全額。以上は償却工具「金属製柱及びカッペ」3年(取扱通達2-6-4)

工具か機械装置か。溶接機・発電機・コンプレッサー・電動工具は、耐用年数省令の別表に名前が個別に載っていません。当てはめ方は2つあります。別表第一の「工具」のうち「前掲の区分によらないもの・その他の主として金属製のもの」なら8年(その他のものは4年)、別表第二の「機械及び装置」のうち「総合工事業用設備」なら6年です。どちらになるかは資産の性格と事業の内容で分かれ、判定は税務署で確認してください。この記事の計算例は8年で置きます。金属製の足場材だけは通達で明記されていて、工具の「金属製柱及びカッペ」の耐用年数3年を使います。

計算例(定額法・月割)

個人事業主の法定償却方法は定額法です。各年の償却費は取得価額 × 定額法の償却率で、年の途中で使い始めたら12で割って使った月数を掛けます(No.2106)。耐用年数省令別表第八の定額法の償却率は、2年0.500・3年0.334・4年0.250・5年0.200・6年0.167・8年0.125です。

例1:エンジン発電機 税込165,000円・白色申告・令和8年5月に購入
10万円以上20万円未満 → 一括償却資産
165,000円 ÷ 3 = 55,000円
令和8年分・9年分・10年分に各55,000円(一括償却資産は月割しない)
例2:同じ発電機 165,000円・青色申告
30万円未満(令和8年4月以後なら40万円未満)→ 特例
令和8年分に165,000円全額。その年の特例の合計が300万円以内であること
例3:200V溶接機 税込288,000円・白色申告・令和8年7月に使用開始・耐用年数8年
償却率 0.125 → 年額 288,000円 × 0.125 = 36,000円
令和8年分は7〜12月の6か月 → 36,000円 × 6/12 = 18,000円
令和8年分 18,000円、令和9年分以後 各36,000円(最後は帳簿価額1円を残して終了)
例4:足場材一式 税込450,000円・青色申告・令和8年1月に使用開始・耐用年数3年
40万円以上 → 特例は使えず通常の償却
償却率 0.334 → 450,000円 × 0.334 = 150,300円
令和8年分 150,300円、令和9年分 150,300円、令和10年分 149,399円(1円を残す)
例5:大型発電機 税込385,000円・青色申告
令和8年3月に取得 → 30万円以上なので通常の償却(8年なら年48,125円、初年は月割)
令和8年5月に取得 → 40万円未満 → 385,000円を令和8年分に全額
同じ機械でも取得日が4月1日をまたぐと処理が変わる
市区町村の償却資産税(固定資産税)では、一括償却資産は申告対象外、青色の特例で全額経費にした資産と通常の償却をした資産は申告対象とされるのが一般的な取扱いです。免税点(合計150万円未満)を含め、この部分は地方税の話で、この記事では一次資料を確認していません。市区町村の償却資産の案内で確認してください。

記録の残し方:買った日に3つ書く

  1. 取得日と使い始めた日:月割の起点。4月1日をまたぐ買い物は日付が処理を変える
  2. 税込の取得価額と、何と一緒に買ったか:本体・バッテリー・ケースをまとめて買ったなら合計で判定される。足場材は一式で判定される可能性が高い
  3. どの壁で処理したか:「消耗品費」「一括償却資産」「措法28の2」「減価償却」のどれかをレシートにメモ。青色の特例は明細書、償却は減価償却費の計算欄に転記する

領収書などの書類は5年、帳簿は7年の保存義務があります(白色申告者・国税庁No.2080)。償却が数年続く資産は、買った年のレシートを最後の年まで追える場所に置いてください。

よくある質問

10万円の判定は税込ですか、税抜ですか?

自分の経理方式に合わせます。税込経理なら税込金額、税抜経理なら税抜金額で判定します(国税庁No.2100)。免税事業者は税込経理しかできないので税込で判定します。本体98,000円でも税込107,800円なら10万円以上になり、全額その年の経費にはできません。

単管やクランプをバラで買い足しています。1本ずつなら10万円未満で全額経費ですか?

取得価額は通常1単位として取引される単位、つまり機能する1組で判定するのが原則です。足場として1組で使うために買い揃えたものは、合計額で判定される可能性が高いと考えてください。金属製の足場材は工具の「金属製柱及びカッペ」の耐用年数3年を適用します(耐用年数の適用等に関する取扱通達2-6-4)。既存の足場に少量を補充する消耗的な買い足しとは区別されるので、迷うときは税務署に確認してください。

白色申告ですが、25万円の溶接機を全額経費にする方法はありますか?

白色申告では30万円未満の特例は使えません。20万円以上なので一括償却資産にもならず、通常の減価償却になります。耐用年数を8年とすれば年31,250円(税込250,000円×0.125)で、年の途中の取得は月割です。翌年から青色申告に切り替えれば、その年以後に取得する40万円未満の工具は全額その年の経費にできます。青色申告承認申請書は使いたい年の3月15日までに提出します(国税庁No.2070)。

親方帳なら、工具のレシートが建設業の科目で残る

親方帳は一人親方・職人の出面帳アプリです。工具や材料のレシートは撮るだけでAIが読み取り、建設業の勘定科目に自動分類して記帳されます。取得日と税込金額がその場で記録に残るので、この記事の「買った日に3つ書く」のうち日付と金額は自動で埋まります。出面から請求書、経費、確定申告の準備までが1本でつながります。減価償却の計算そのものは申告時に国税庁の作成コーナーなどで行ってください。

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参考(一次資料)

いずれも2026-09-12に確認。